北千里高等学校

校長ブログ

  • 2023年3月3日 第43回 卒業証書授与式 式辞

    第四十三回 卒業証書授与式 式辞

     

    ただ今、三百四十五名に卒業証書を授与いたしました。まずは、卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。 

    本日、ご来賓の皆さま、卒業生のご家族の皆さまのご列席をいただき、感染症の制約を受ける中ではありますが、第四十三回の卒業証書授与式を挙行できますことを、高いところからではありますが、心より御礼申しあげます。

     

    卒業生のご家族の皆様、本日は誠におめでとうございます。ある時は厳しく、そして、ある時は暖かく接しながら、ともに歩まれた三年間であったかと存じます。特に、感染症に対する不安や、それに伴う様々な制限、そして、そういった厳しい状況を受け入れながらも、一生懸命に高校生活を送っているお子様に対する寄り添いは、相当なものであったと推察をいたします。

     

    また、昨年十二月の冬響祭に合わせて、校門前の広場にイルミネーションを設置していただき、通学する北千里生を応援してくださった事は、沈みがちな生徒の気持ちに灯をともし、元気・勇気を与えてくださいました。

    (本当に有難うございました。)

     

    本日、新たな旅立ちを迎えた卒業生はこの北千里高校で、心も身体も立派に成長されました。

    担任団をはじめ、教職員一同、心からお喜び申しあげますとともに、この間、本校の教育にご理解、ご協力をいただきましたことに深く感謝を申しあげます。

     

    さて、卒業生の皆さん、あらためてご卒業おめでとうございます。いよいよ北千里高校での生活も今日で完結します。振り返れば、高校生活は決して、楽なことばかりでは無かったと思います。不透明な社会、将来に対する不安、思うようにいかないことへのストレス、様々な悩みや葛藤の中で、もがきながら過ごした日々も多かったことでしょう。

     

    なかでも、およそ三年前の四月から始まった緊急事態は、入学式をはじめとして、学習活動の制限、学校行事の縮小、部活動の自粛、大会や発表会の中止など、さらには、日常における友達との楽しい会話すらも奪い去りました。また、進路実現に向けた大切な時期に、感染に対する不安と向き合わなければならないストレスは相当なものであったと思います。

     

    しかし、そんな状況の中にあっても、皆さんは決して自分本位になることなく、いろいろな思いを持ち、お互いを思いやり、励ましあいながら、前を向き、一歩ずつ歩み続け、今日という日を迎えました。

    今、皆さんの周りには、この苦しい日々を支えあい、乗り越えてきた、かけがえのない仲間たちがいます。

     

    特に、昨年六月に実施した体育祭では、完全実施をした経験がなく、先輩の姿を見てイメージすることができなかったにもかかわらず、一、二年生の先頭に立ち、生徒自身が作る行事として立派にけん引し、大成功に導いてくれました。また、九月の文化祭では、演劇の制作を通じてクラスが一体となり、仲間と共に作り出すことの苦しい日々を、支えあいながら見事に成功に導きました。

     

    今日の卒業式を節目として、それぞれが、次のステージに進むこととなりますが、この厳しい3年間を共に乗り越えることによって築かれた四十三期生の「絆」は、この先も、皆さんにとって大きな財産となるに違いありません。

    出会った「奇跡」、そして「運命」に感謝し、いつまでもお互いが「大切な存在」であり続けることを願っています。

     

    それでは高校生活の最後にあたり、皆さんに「気づき」と「心遣い」ということについてお話したいと思います。

     

     

    皆さんには、「気づき」と「心遣い」を大切にできる大人に成長していってほしいと思います。「気づき」と「心遣い」どういうことだと思いますか。

     

    たとえば、将来社会人になって仕事をするときの「気づき」と「心遣い」です。

    遅刻などせず、決められた仕事をきっちりとこなすことは、大人として当たり前です。そこに、それぞれの仕事に応じた「心遣い」をプラスすることが出来たら、どうでしょう。

     

    接客業なら、お客様が何を望んでいるのか・どうすれば喜んでもらえるのかに「気づき」「心遣い」することにより、本当にお客様に喜んでいただき、そうしたらまた次も来てくださる、さらに口コミ等もよくなることで繁盛するので自分もうれしい、だからまた頑張る、というような好循環が生まれます。

     

     

    企画をするような仕事なら、資料を作るときに、ただ作るだけではなくてちょっとでも見る人がわかりやすいように工夫することに「気づいて」、「心遣い」できたら、わかりやすいから誤解が減りミスも減る、なので全体の業績が上がる、というようにやはり好循環が生まれます。

     

    きっと、「心遣い」なく決められたこと与えられたことをやっているだけでは得られない、たくさんの成果や幸せが得られます。

    そして、「心遣い」ができるためには、相手の立場に立った「気づき」が必要です。

     

    皆さんは、これからの人生たくさんの人と出会い、接していくことになります。とてもよい関係が築ける場合もあれば、そうでない場合もあるでしょう。相手の様々なことにちゃんと「気づいて」「心遣い」出来る、そしてもちろん相手からも「気づかれ」「心遣い」してもらえる、そのような人間関係をたくさん築いていってほしいと願っています。

    「気づか」なければ「心遣い」できないことにさえ「気づけ」ないのです。

    学年主任の富田谷先生に、四十三期生の皆さんについて聞いてみました。

    「とても素直で思いやりがあります。全体にのんびりとしていましたが、自分たちの言葉や思いをしっかり受け止め、成長していってくれた生徒です。」と胸を張って言っておられました。

     

    私が北千里高校へ来てからのこの一年の間だけでも、皆さんには頑張っているとき、ちょっと困ったことになっているときなどいろいろなことがありまし

    たが、そのたびに「他者を思いながら行動でき、途中でくじけそうになることもあるけれども、先生たちの言葉や思いをしっかり受け止め、最後まで投げ出さない皆さん」へとどんどん成長していく様子には感心させられました。

     

    これからもたくさんのことを学び、たくさん知り、たくさん考え、たくさん語りそしてたくさん「気づき」たくさん「心遣い」し成長し続けて行ってください。

     

    さて最後に、卒業生の皆さん、皆さんのこれからの人生、要領が良くなくても構いません。結果がすぐに出なくても構いません。いつも勝者でなくても構いません。ただひたすら 自分の信じる夢を追い続けてください。

     

    コロナにより多くのことに制約を受けたことで、これまで当たり前に感じていた、例えば「人との触れ合い」や「表情を伴うコミュニケーション」がどれだけ大切で、それによっていかに心が癒されるのかを考えるきっかけともなりました。コロナから教えてもらったことも、これからの生き方や考え方にとって大きな財産になるでしょう。

     

    これからも多くの試練が皆さんを待っていると思いますが、ピンチは成長への大きなチャンス。北千里高校での生活を糧にチャレンジしてください。

    これからどんな時代が訪れようとも、心豊かな人生を送ってもらいたい、みんなが幸せに生きられる社会を築いていってほしいと、心の底から願っています。

     

    今日の卒業を迎え、それぞれの世界へ出ていく皆さんが、いつの日か多くの夢を叶えて、豊かな人生を送られんことを、そして、皆さんの人生が幸多きものとなりますように、心からお祈りし、私の式辞といたします。

     

    卒業、本当におめでとう。

     

     

                             令和五年 三月一日

     

                                大阪府立 北千里 高等学校

                                校長 田 尻  由 美 子